アメリカ国立航空宇宙局 (National Aeronautics and Space Administration, NASA) は、アメリカ合衆国の航空技術および宇宙開発計画を担う政府機関である。
宇宙開発の分野では、世界で最も進歩した国家機関である。また、航空技術の面でも、ユニークであったり、膨大であったりする実験を行うことがある。
歴史[]
NASAの前身は国家航空諮問委員会 (NACA: National Advisory Committee for Aeronautics) で、1915年に米国の航空技術の研究開発を推進する目的で設立された。
1957年に人工衛星の打ち上げでソビエト連邦のスプートニク1号に先を越された(スプートニク・ショック)アメリカ政府は、遅れを取り戻すためにそれまで空軍・海軍・陸軍(陸軍弾道ミサイル局)でバラバラに行っていた宇宙開発任務を統合することを決めた。このため1958年10月1日にNACAを母体としてNASAを設立し、以後軍事を除く宇宙開発計画を引き継がせて、ソ連との宇宙開発競争にあたって国の威信をかけた有人宇宙飛行を推進する体制を構築した。
冷戦終結後は仮想敵国であったソ連が消滅したことで、宇宙開発に投入される予算が減らされておりかつてのアポロ計画のような膨大な資金が掛かる有人飛行の計画は実施が困難になりつつある。
NASAの宇宙計画[]
- 有人宇宙計画
- マーキュリー計画
- ジェミニ計画
- アポロ計画
- スカイラブ計画
- アポロ・ソユーズ共同飛行計画
- スペースシャトル
- 国際宇宙ステーション(ISS): 国際共同
- 無人宇宙計画
- マリナー計画
- サーベイヤー計画
- バイキング計画
- パイオニア計画
- ボイジャー計画
- ディスカバリー計画
- COBE
NASAは欧州宇宙機関(ESA, European Space Agency)といくつかの計画を協同で行っている。
- ハッブル宇宙望遠鏡
- ジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡
- カッシーニ
- ユリシーズ
- 太陽・太陽圏観測衛星(SOHO)
もっとも特筆すべき成果をいくつかあげると、1969年に人類を初めて月に送ったこと、現行のスペースシャトル計画、国際宇宙ステーションでの貢献、そして数々の宇宙探査機や人工衛星を打ち上げたことである。これらの計画を達成したことにより、多くの科学的発見が得られ、その多くは軍事上および商業上の重要な応用をもたらした。最近何年かは、莫大な費用のかかる少数のプロジェクトばかり追求するのではなく、より小規模で費用の少ないプロジェクト、すなわち無人のロケットや探査機、ロボットを使用したものに転換しつつある。一例としては2008年7月30日、無人探査機「カッシーニ」での観測の結果、土星の衛星タイタンに地球以外で初の、液体が存在することが確認された。
2004年にブッシュ大統領により、再度の宇宙開発の方針が転換された。再び、有人宇宙船を月へ向かわせるとのことである。しかし、アポロ計画の例をみて有人飛行には莫大な費用がかかるため、NASAの他の宇宙研究事業にしわ寄せが行くことは必至であるとして、疑問視する声も多い。
フィールドセンター[]
NASAは官庁としての事務組織のほか、12のフィールドセンターを擁しており、研究・開発・宇宙船や人工衛星の組立や打ち上げ・管制などの実務は各センターの任務である。さらに各センターは事業計画の策定と予算案の立案まで行っており、独立性が高い。
- ケネディ宇宙センター フロリダ州ケープカナベラル: ロケットの発射場
- エイムズ研究センター カリフォルニア州 モフェットフィールド: 航空分野の研究開発
- ドライデン飛行研究センター カリフォルニア州 エドワーズ空軍基地: 航空機の飛行試験や研究開発。実験機Xシリーズなど
- ゴダード宇宙飛行センター メリーランド州 グリーンベルト: 衛星の管制・通信
- ジェット推進研究所 カリフォルニア州 パサデナ: 惑星探査機の研究開発・運用
- ジョンソン宇宙センター テキサス州 ヒューストン: 有人宇宙船の研究・運用管制
- ラングレー研究センター バージニア州 ハンプトン: 航空機関連の研究開発
- グレン研究センター オハイオ州 クリーブランド: 旧ルイス研究センター。
- マーシャル宇宙飛行センター アラバマ州 ハンツビル: ロケットの研究開発
- NASAミシュード組立工場 ルイジアナ州 ニューオリンズ: ロケットの部品製作
- ステニス宇宙センター ミシシッピ州 セントルイス湾: ロケットエンジンの開発
- ワロップス飛行施設 バージニア州 ワロップス島
施設についている人名は、アメリカの宇宙開発に功績のあった研究者や宇宙飛行士を記念したもの。
NASA本庁:ワシントンD.C.南西通り300番東(スミソニアン航空宇宙博物館から東へ4ブロック)
NASAの歴代長官[]
- 初代: トーマス・グレナン (1958-61)
- 第2代: ジェイムズ・ウェッブ (1961-69)
- 第3代: トーマス・ペイン (1969-70)
- 第4代: ジェイムズ・フレッチャー (1971-77)
- 第5代: ロバート・フロシュ (1977-81)
- 第6代: ジェイムズ・ベッグズ (1981-85)
- 第7代: ジェイムズ・フレッチャー(再任、1986-89)
- 第8代: リチャード・トゥルーリー (1989-92)
- 第9代: ダニエル・ゴールディン (1992-2001)
- 第10代: ショーン・オキーフ (2002-2004)
- 第11代: マイケル・グリフィン (2005-)
関係法令[]
- 1958年 - National Aeronautics and Space Administration PL 85-568
- 1961年 - Apollo mission funding PL 87-98 A
- 1970年 - National Aeronautics and Space Administration Research and Development Act PL 91-119
- 1984年 - National Aeronautics and Space Administration Authorization Act PL 98-361
- 1988年 - National Aeronautics and Space Administration Authorization Act PL 100-685
関連項目[]
- 宇宙開発
- ロケット
- 人工衛星
- 宇宙開発競争
- 欧州宇宙機関 (ESA)
- ロシア航空宇宙局 (Rosaviakosmos)
- 宇宙航空研究開発機構 (JAXA)
- Terra
- アポロ計画陰謀論(NASAに関わる陰謀論の一つ)
- アメリカ空軍
外部リンク[]
- NASA 公式サイト(英語)
- NASA JAPAN 日本語もあり
- Photo JurnalPhoto Jurnal
- DayAstronomy Picture of the Day
- wind★World wind(惑星閲覧フリーソフトウェア)
テンプレート:宇宙機関
ang:NASA ar:ناسا ast:NASA az:NASA bat-smg:NASA be-x-old:NASA bg:Национално управление по въздухоплаване и изследване на космическото пространство bn:নাসা bs:NASA ca:NASA cs:NASA cy:NASA da:NASA el:NASA eo:NASA et:NASA eu:NASA fa:ناسا fi:NASA fy:NASA ga:NASA gd:NASA gl:NASA he:נאס"א hi:नासा hr:NASA hu:NASA ia:NASA id:NASA is:Geimferðastofnun Bandaríkjanna it:NASA ka:ნასა kaa:NASA kn:ನಾಸಾ ku:NASA la:NASA lb:NASA li:NASA lt:NASA lv:NASA mk:НАСА ml:നാസ mr:नासा ms:NASA nds:NASA ne:न्यासा nl:National Aeronautics and Space Administration nn:NASA no:NASA oc:National Aeronautics and Space Administration om:NASA pl:NASA pt:NASA ro:NASA scn:NASA sco:NASA sh:NASA simple:NASA sk:National Aeronautics and Space Administration sl:NASA sq:Administrata Kombëtare Aeronautike Hapësinore Amerikane sr:НАСА stq:NASA sv:NASA sw:NASA ta:நாசா te:నాసా th:องค์การบริหารการบินและอวกาศแห่งชาติ สหรัฐอเมริกา tl:NASA tr:NASA uk:Національне управління з аеронавтики і дослідження космічного простору vi:NASA zh-min-nan:NASA zh-yue:美國太空總署