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ユレダス(UrEDAS)とは、国鉄鉄道技術研究所(現在の財団法人鉄道総合技術研究所)が開発した地震警報システムの名称。早期地震検知警報システム(地震動早期検知警報システム。Urgent Earthquake Detection and Alarm System)の頭文字をとったもの。地震の際に即座に警報を発して被害を最小限に抑えるための安全管理システムである。

鉄道関係におけるユレダスの役割 編集

鉄道関係では運行中の列車を止め、あるいは少なくとも減速させることで、被害を最小限に抑える。遠地の大地震の場合はこのタイムラグが大きいため、地震被害軽減に大きな効果が期待できる。

現在は新幹線など鉄道関係において実用化されている。東海道新幹線では1992年3月14日の「のぞみ」運行開始から全面稼動しており、また1997年からは在来線にもユレダスの情報を伝達し始めている(在来線地震情報伝達システム)。山陽新幹線では1996年から本格稼働している。1989年頃から設置され始めた東海道新幹線のユレダスは、1998年に機器などを中心に順次新しいものに更新されている。

当時のユレダスは遠地の大地震を対象にしており、P波検知から警報までに3秒程度要している。盛岡以南の東北・上越・長野新幹線、および東京地下鉄(東京メトロ)では直下地震に対応するコンパクトユレダスが稼動している。これは、阪神・淡路大震災を契機に、(株)システムアンドデータリサーチによって開発されたもので、P波検知後1秒で警報する世界最速のP波警報システムである。2003年三陸南地震2004年新潟県中越地震では、コンパクトユレダスがいち早く警報を発するとともに、最大加速度などの情報を発信している。

さらに2006年頃から新幹線では、ユレダスとコンパクトユレダスは気象庁主導で開発されたシステムに置き換えられている。このシステムは最近の能登半島地震や四日市の地震などで動作しているが、遠く離れた地域で新幹線が長時間止まったままであるなどやや異常である。しかし、詳細な動作状況は全く公表されておらず不明。

東京メトロのコンパクトユレダスは、同様な動作原理に基づく後継機種であるフレックル(FREQL)に置き換えられている。フレックルは、最短0.2秒でP波警報を発信することができるオンサイトの迅速な警報装置として、全国の各種工場など産業施設の地震時安全に貢献しつつある。また、フレックルの可搬型はハイパーレスキューなどの災害救援活動を支援する機器として全国に普及しつつあり、すでにパキスタン地震などで活躍している。

ユレダスの原理 編集

ユレダスは一つの地点にて観測された地震波初期微動P波)の振動波形だけで、地震の震央位置(震源距離、深さと震央方位から推定する)・マグニチュードを、瞬時(ほぼリアルタイム)で推定し、必要と判断される地域にS波が来る前に警報を発信するシステムである。なお初動を感知できなくとも、地震動があらかじめ定めた規準値を超過した場合には、瞬時に警報を発信する。

ユレダスでは単独の3成分地震計とそれに連動した独立した演算器(コンピューター)により、以下の項目をリアルタイム処理する。ユレダスの地震波形処理の基本的な考え方は、リアルタイム処理にあり、波形を貯め込んでモデル関数にフィッティングするなどの間歇的な処理方法はとっていない。波形をデジタルサンプリングしてから次のサンプリングまでの間に、PS識別処理、卓越周期の推定、震央方位の推定、などすべての処理は終了している。

P波の識別
地震動を検知したとき、地震動の特徴を利用して、それがP波であるか、S波であるかを識別する。
マグニチュードM
P波初動の卓越周期Tより次式でマグニチュードを求める。当初、断層破壊時間を考慮してM6以上を対象に、初動周期を確定するのに3秒待ったが、断層破壊時間よりかなり早く卓越周期が安定することを見出した。現在はM7を超す程度までは1秒以下で十分確定できることがわかっている。
M = a*logT + b
震央方位
地震動の3方向成分より地震波動の到来する方向をリアルタイムで推定する。断層の進展状況をリアルタイムに追跡することも可能である。地震波動の地表への入射角もリアルタイム監視しているので、統計的に深さを推定することもできる。
震源距離ほか
通常のマグニチュード推定では、マグニチュードは震源距離または震央距離と初動震幅から指定される。そこで、ユレダスでは、既に推定したマグニチュードと初動震幅から、震源距離を推定し、これと入射角より、震央距離と深さを推定している。
警報範囲の判断
M - \Delta\quad 図」により推定する。
M - \Delta\quad 図とは、既往の地震被害地点と震央近くの無被害地点のデータを集積し、これらを (M,\Delta) 座標系に落として、被害が発生する可能性が高い領域を M に対して明確にしたものである。

なお震源が浅い直下型地震の場合には、P波とS波の到達がほぼ同時となるため、このシステムでは大きな効果は期待しにくいが、例えば上越新幹線とき325号脱線事故の例のように、明らかに早期警報が大惨事を防止した例がある。普通、地震の深さが10km程度以上あること(中越地震では13km)を考えると、P波検知後1秒で警報が出せるコンパクトユレダスは、S波到来前に警報を出すことができる。さらに1,2秒経ってから本格的な地震動となるのが普通なので、数秒であるが効果は期待できる。2004年新潟県中越地震でも、とき325号への警報は大きく揺れ出す2秒~3秒前であったものと推測される。2秒~3秒で新幹線は100m~200m走行する。つまり被災したかも知れないところをそれだけ走行せずにすむ効果と、付近一帯の列車も止めるので、対向列車が突入する危険性を減じる効果は期待できる。

特許関係 編集

  • 発明の名称:地震動早期検知システム
  • 発明の名称:地震動早期検知システム
    • 登録番号:特1291229
  • 発明の名称:地震動早期検知システム
    • 登録番号:特1285667
  • 発明の名称:震央方位推定装置
    • 登録番号:特1610592
  • 発明の名称:S波検出装置
    • 登録番号:特1636955
  • 発明の名称:卓越周波数算出装置
    • 登録番号:特1610622

検知点(JR) 編集

東海地震及び東南海地震に備え、JR東海の検知点は関東から近畿にかけての14か所に置かれている。

JR西日本の検知点は2004年現在5か所。


関連項目 編集

参考文献 編集

外部リンク 編集

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