伊豆東部火山群(いずとうぶかざんぐん)は、伊豆半島の東部にある火山及び東方沖の海底火山からなる単成火山群。
概要[]
15万年前以降の伊豆半島では大型の複成火山の活動が終わり、東部で単成火山が噴火するようになった[1]。火山群はスコリア丘・溶岩ドーム・爆裂火口などの多数の単成火山で構成されている。
伊豆高原はこれらの火山群、とくに大室山の火山活動によって形成された、なだらかな地形の上に発展した観光地である。大室山は定期的な山焼きのために山体の形状が明瞭で、スコリア丘の代表例として紹介されることも多く、伊東市のシンボル的な存在となっている。静かな観光スポットである一碧湖は、爆裂火口に水が溜まってできた火口湖。これら伊豆東部火山群は、天城火山が活動を終えたあとに始まった火山活動であり、カワゴ平火口のように天城山の山腹から噴火することもある。
約2700年間火山活動はなかったが、1989年の伊豆半島東方沖で起きた群発地震の際に、伊東市の東方沖わずか3キロメートルの海底で有史以来の噴火を起こし、噴火地点は手石海丘と命名された。
主な火山地形[]
名 称 | 位 置 | 種 類 | 標 高 | 形 成 時 期 | 地 図 | 備 考 |
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大室山 おおむろやま |
伊東市 | スコリア丘 | 580m | 約4000年前 | 地図 | 天然記念物に指定、観光リフトあり |
小室山 こむろやま |
伊東市 | スコリア丘 | 321m | 約1万5000年前 | 地図 | 観光リフトあり |
伊雄山 いおやま |
伊東市 | スコリア丘 | 459m | 約2700年前 | 地図 | |
遠笠山 とおがさやま |
伊豆市 東伊豆町 |
スコリア丘 | 1197m | 約14〜15万年前 | 地図 | かつては天城火山の一部と考えられていた、未舗装道路あり |
丸野山 まるのやま |
伊豆市 | スコリア丘 | 697m | 約10万7500年前 | 地図 | |
巣雲山 すくもやま |
伊豆市 | スコリア丘 | 581m | 約13万2000年前 | 地図 | 登山道と展望台あり |
鉢窪山 はちくぼやま |
伊豆市 | スコリア丘 | 674m | 約1万7000年前 | 地図 | |
丸山 まるやま |
伊豆市 | スコリア丘 | 938m | 約1万7000年前 | 地図 | |
高塚山 たかつかやま |
伊豆の国市 | スコリア丘 | 369m | 約13万2000年前 | 地図 | 砕石で半分削られ、スコリア丘の断面が露出する |
鉢ノ山 はちのやま |
河津町 | スコリア丘 | 619m | 約3万6000年前 | 地図 | |
矢筈山 やはずやま |
伊東市 | 溶岩ドーム | 816m | 約3200年前 | 地図 | 頂上に温風口、登山道あり |
孔ノ山 あなのやま |
伊東市 | 溶岩ドーム | 660m | 地図 | ||
岩ノ山 いわのやま |
伊豆市 | 溶岩ドーム | 602m | 約2700年前 | 地図 | 岩山ともいう |
一碧湖 いっぺきこ |
伊東市 | マール | 約10万3500年前 | 地図 | 遊歩道あり | |
城ヶ崎海岸 じょうがさきかいがん |
伊東市 | 溶岩流 | 約4000年前 |
地図 | 主に大室山の活動によって形成、ポットホール、遊歩道あり | |
手石海丘 ていしかいきゅう |
伊東市沖 | 海面下81m | 1989年7月13日 | 地図 | 噴火が映像として記録された、海上保安庁:映像 |
- 上記以外にも伊豆東部火山群により多くの地形が残されているが、山名等が無いため、地名で呼ばれる火山も数多く存在する。
- 浄蓮の滝、河津七滝などの名勝も伊豆東部火山群の噴火の影響でできたものである[2]。
補注・参考文献[]
関連項目[]
- 火山の一覧
- 火山の一覧 (日本)
- 火山学
- 気象庁が命名した自然災害の一覧#火山噴火
外部リンク[]