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地球近傍小惑星(ちきゅうきんぼうしょうわくせい)とは、地球に接近する軌道を持つ天体地球近傍天体NEO (Near Earth Object))のうち小惑星のみを指す。英語でNEAs (Near Earth Asteroid) と呼ばれることもある。

地球近傍小惑星の起源[]

地球近傍小惑星の起源は3つあると考えられている。1つ目は、揮発成分を失った短周期彗星であり、いくつかの小惑星にはかすかな尾が観測されている。2つ目は、エッジワース・カイパーベルトである。そして、3つ目は木星との重力の相互作用により小惑星帯から弾き飛ばされた、というものである。

地球近傍小惑星の分類[]

地球に接近する小惑星はその軌道要素からアポロ群、アモール群、アテン群の3つに大別される。 そのため、地球近傍小惑星はアポロ・アモール・アテン型小惑星AAA天体と呼ばれることもある。

なお、これらは地球や水星金星火星などを通過するときに摂動を受けるので軌道が変わりやすく、長期の追跡調査が必要である。実際に発見後、数十年間に渡って行方不明となっていた小惑星が存在する((719) アルベルト(29075) 1950 DA、(69230) ヘルメスなど)。

アポロ群[]

詳細は「アポロ群」を参照

軌道長半径が1天文単位以上で近日点距離1.017天文単位以下の小惑星。1.017天文単位は地球の遠日点距離である。 アポロ群の小惑星の軌道はその半分以上が地球軌道の外側にあり、地球軌道の内側に一時入りこむ小惑星と言える。

アポロ群に属する小惑星としては、(1566) イカルス、(1862) アポロ、(2101) アドニス、(3200) ファエトン、(4179) トータティス、(25143) イトカワ、(69230) ヘルメスなどがある。

アモール群[]

詳細は「アモール群」を参照

軌道長半径が1天文単位以上で近日点距離1.017天文単位以上1.3天文単位以下の小惑星。 アモール群の小惑星の軌道は地球の軌道とは交差していないが、火星の軌道より内側に入り込むため地球に接近する。 アポロ群と合わせてアポロ・アモール群と呼ばれることもある。

アモール群に属する小惑星としては、(433) エロス、(719) アルベルト、(1221) アモールなどがある。

アテン群[]

詳細は「アテン群」を参照

軌道長半径が1天文単位以下で遠日点距離0.983天文単位以上の小惑星。0.983天文単位は地球の近日点距離である。 アポロ群とは逆に、アテン群の軌道はその半分以上が地球軌道の内側にあり、地球軌道の外側に一時出る小惑星と言える。 アポロ群、アモール群に比べるとその数は少ない。

アテン群に属する小惑星としては、(2062) アテン、(3753) クルースン(66391) 1999 KW4などがある。

なお、地球と非常に酷似した軌道を取る小惑星を、アルジュナ群と呼ぶことがある(ただし、"Arjuna"という名の小惑星は現時点では存在しない)。例として、2002 AA29などがある。そのうちのいくつかは、地球から見てまるで衛星のように振舞うことから準衛星 (Quasi-satellite) と呼ばれる。

地球近傍小惑星の脅威[]

白亜紀の終わりの地層に発見されたK-T境界(白亜紀 - 第三紀境界層)は、巨大な彗星隕石の衝突によってもたらされたことがわかって来たが、その元として地球近傍小惑星の存在が浮上してきた。

天体の地球への衝突の脅威は、1994年7月16日シューメーカー・レヴィ第9彗星木星への衝突により広く知られるようになった。木星へは、地球以上に多くの天体が衝突していると考えられている。

直径1kmほどの小惑星の地球への衝突は100万年に数回、5kmほどの小惑星の衝突は1000万年毎、小天体の衝突は毎月2、3回起こっていると考えられている。

これまでに数回間違った警報が出ているが、多くの小惑星が地球に衝突する危険性があることが知られている。2002年4月、NASAはアポロ群の小惑星 (29075) 1950 DA(直径1km)が2880年3月16日に0.3%の確率で地球に衝突すると発表した。この確率は他の小惑星の危険性の1,000倍に当たる。

2004年には、これまでの地球接近記録を更新する2個の小惑星が発見された。3月18日にアテン群の小惑星2004 FH(直径30m)が地球の表面からの距離4万2740kmまで接近し、3月31日には同じくアテン群の2004 FU162(直径6m)が同6350Kmまで接近した。

2006年7月3日には、2004 XP14が地球から約42万kmの位置を通過した。

2008年10月7日には、2008 TC3が発見からわずか一日で大気圏に突入し、スーダン上空での爆発が人工衛星から確認された。

このように、地球近傍小惑星はその軌道によっては地球に衝突する可能性も考えられる。小さな小惑星の衝突でも甚大な被害が予測されることから、これらの小惑星を発見し監視するためのプロジェクトが世界各地で行われている。

地球近傍小惑星の探査・観測[]

宇宙探査機による近接探査(小惑星#探査の歴史も参照)。

  • (433) エロス:2000年2月にNEARシューメーカーが周回軌道に入り、2001年2月に着陸した。地球近傍小惑星を訪れた最初の探査機である。
  • (25143) イトカワ:2005年9月~12月にはやぶさが探査を行い、サンプルリターンを試みた。

地上からのレーダー観測

  • (6489) ゴレブカ:1995年6月。
  • ほかに多数の地球近傍小惑星がレーダー観測されている。

関連項目[]

cs:Blízkozemní planetka da:Nærjords-asteroide fi:Maan lähelle tuleva asteroidi hr:Zemlji bliski asteroidi it:Asteroide NEAR nl:Aardscheerder nn:Nærjordsasteroide pl:Planetoidy bliskie Ziemi simple:Near-Earth asteroid sk:Blízkozemská planétka sl:Blizuzemeljski asteroid sv:Jordnära objekt th:ดาวเคราะห์น้อยใกล้โลก

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