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Funnel cloud3 - NOAA

地震雲とされやすい竜巻状の雲、アメリカのテキサス州北部にて撮影された漏斗雲

地震雲(じしんぐも、じしんうん)とは、地震の前に発生するとされているのこと。宏観異常現象の一種。

概要 編集

「大地震の前に普通の雲とは異なった特徴的な雲が現れた」というような話は、古くから世界各地で多数報告されており[要出典]、21世紀になった現代においても同様である。このような報告をもとに、「地震雲」をさまざまな方法で活用した地震予知研究も行われてきた。

古くからの地震予知研究においては、地震雲の発生メカニズムがはっきりと解明されていなかったため、過去の地震雲の報告と地震の発生状況などを照らし合わせるなどして得られた、経験則統計学的手法に基づいて研究や予知が行われた。しかし、科学の発達により地震雲の発生メカニズムを説明するような仮説も現れ始め、発生メカニズムに基づいた研究や予知も行われるようになった。現在のところ、前者の方法と後者の方法の両方が行われている。

身近にかつ手軽に観察できる「雲」を対象としているため、一般市民が参加した観測・報告による研究も行われている。また、公的な研究機関ではなく、民間による独自の研究も多い。地震雲の発生メカニズムを説明する説は提唱されているものの、科学的に合意が得られてはいない。また、地震雲による地震予知についても、手法はまだ確立されていないのが現状である。仮に手法が確立されたとしても、全天が雲となる曇天・雨天には判別不可能、また夜間には観測が難しいなどの難点がある。

地震雲について、公的機関や学術団体は総じて否定的な見解をとっている。日本地震学会は「地震研究者の間では一般に関係性はないとされているが、関係が皆無であると断言はできない。しかし過去の報告例は大地震の前にたまたま特異な形の雲を見たことで地震と雲を結びつけてしまう一方、地震が起きなかった場合には雲のことを忘れてしまうと考えられる」としている。気象庁は「無いと言いきるのは難しいが、仮にあるとしても『地震雲』とはどのような雲で、地震とどのような関係であらわれるのか科学的な説明がなされていない」としている。大多数の科学者や政府・行政の公式的な見解は「報告された『地震雲』とされるものの中には明らかに地震と関係のない雲も多く含まれており、その観測や報告は正確性について疑問が残るうえ、地震雲と地震との関係性も明らかになっていない」ということである。もっとも、地震雲の存在自体を明確に否定した見解はそれほど多くない。地震という地学現象と雲という地学現象の関連性を研究すること自体は動機としては自然なものであり、近年の地震雲研究の問題点は、あくまでもその手法が科学的妥当性を欠いている点だと指摘する向きも多い[1]

ただ、「地震雲の情報が報告されている」という事実があること、僅かな地震予知の可能性に賭けたいという考えなどから、研究を行っている者もいる。一方、「地震雲」の情報がカルト詐欺などに悪用されているという指摘もある[2]。また、「地震雲」はオカルト疑似科学だとして全面否定する考えもある。

地震雲の発生メカニズム 編集

現在のところ、地震雲の発生メカニズムについて合意が広く得られた説はなく、また実証もされていない。しかし、仮説としていくつかのメカニズムが示されている。

典型的な仮説としては、震源周辺から発生する電磁波が雲の生成に影響を与えるというものがある[3]地球の磁場宇宙線太陽風による磁場などがあるが、この仮説の電磁波は、それらの磁場の異常またはほかの原因によってできた磁場によるものである。

地震の発生前には、断層周辺に大きな圧力がかかり、その圧力によってさまざまな現象が起こると考えられている。岩石の中には圧力を加えると電磁波を発生させるものがあり、大きな規模で圧力がかかると大きな電磁波と磁場が発生すると考えられている。また、圧力によって地中の磁性体が変性・変形して磁場を変えたり、岩盤の破壊や圧力変性による地電流の異常が磁場を変えたりすることも要因として考えられている。

電磁波の放射によって、地上にも磁場変化や電磁波放射が及ぶ。高エネルギーの電磁波は気体分子イオン化させる(霧箱参照)ため、大気中に増加したイオンが水蒸気凝結核となって雲の成長を促進し、地震雲が作られるとされている[4]。また、磁場の変化の場合、強い磁場の中に反磁性体の雲粒や凝結核があるとそれが浮上することが知られており、このようなメカニズムで地震雲が作られるとされている[5]

しかし、磁場変化や電磁波放射の発生あるいは電磁波による雲の生成については一定の理解が得られているものの、地下で発生した磁場変化や電磁波放射が厚い地面や大気という媒体をどのように通過するのかについては理解が得られるような説が出されていない。そのため、仮説として扱われるにとどまっている。また、人工的な電磁波発生源が多数あるにもかかわらず、その電磁波によって雲の発生が観測されていないのはおかしいといった批判もある[6]

また、雲の形状や高度などから、発生が予想される地震の規模、日時、場所(方角)などが特定できるとしている地震雲研究者もいるが、その多くが経験則に基づくものであり、科学的根拠は明確ではない。

特徴と分類 編集

Lenticular stok

地震雲とされやすい帯状の雲、ポーランドのズデーテン山地にて撮影された山岳波によるレンズ雲

20080614 IwateEarthQuake cloud

2008年岩手・宮城内陸地震の直前に撮影された地震雲ではないかとされる雲

一般的に地震雲は、気象現象として説明可能な雲と間違えやすいとされる。間違えられやすいのが、巻雲高積雲層積雲飛行機雲などである。地震雲の形状はいずれも通常の雲とは異なるという考え方、逆にいずれも通常の雲と同一で発生メカニズムが異なるだけだという考え方、あるいはその両方であるという考え方などがある。一般的に地震雲とされる雲の特徴は以下のとおりである[3]

  • 比較的低い位置(低い高度)に発生することが多い。
  • 風に流されない(流されにくい)。
  • 長時間形を変えず消えない。
  • 大地震だけに限らず、小規模な地震の前にも地震雲が発生する。
  • 雨天や曇天など、空が広く雲に覆われている時には、地震雲とそうでない雲の判別が難しい。

地震雲の分類については、いくつかのものがある。広く合意を得られたものや学術的な名称となったものではないが、一般的な例として以下に挙げる[3][7]

  • 断層型 - 雲とがあるラインを境にくっきりと分かれるような雲。断層状あるいは状などと形容される。
  • 筋状・帯状 - 地面と平行に細長く伸びる雲。すじ状、状、状、などと形容される。
  • 洗濯板状 - 洗濯板の凹凸のように、細長い雲が平行に多数並ぶもの。
  • 肋骨状・波紋状 - 広がる波紋のように、同心円状に複数の弧が並ぶ雲。魚の骨にも例えられる。
  • 放射状 - ある点から広がるように、放射線状に広がる筋状・帯状の雲。
  • 弓状 - 1つのの形をした雲。(カマ)にも例えられる。
  • 竜巻型・螺旋状 - 地面に対して鉛直あるいは斜めに伸びる、竜巻漏斗雲のような雲。のようにくびれをともなったり、のように螺旋状になったりするものもある。
  • 稲穂型・鞘豆型・レンズ状 - 細長くを引く、稲穂あるいは彗星のような形状の雲。鞘のように短く尾を引くものもある。また、レンズ状に固まったものもある。ウナギUFOなどにも例えられる。大きく固まったものもあり、「熊のジョン」とも呼ばれる。
  • (色関連) - 夕焼け朝焼けなどのときに、空や雲の色、色彩コントラストが異常なものとなるもの。黄色金色などがある。

ただ、一般に報告されている地震雲の大多数は気象現象などが要因であるという指摘もある。地震雲肯定派は、地震と雲の出現に相関関係があるとされるものの多くは擬似相関に過ぎない普通の雲だが、ごく少数の報告は地震と雲の出現に因果関係があるとしている。一方、地震雲否定派は、報告されている地震雲すべてが、地震と雲の出現は擬似相関である、つまり偶然の一致だとしている。

関連項目 編集

出典 編集

脚注 編集

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  1. 日本地震学会編『地震予知の科学』、東京大学出版会、2007年
  2. 似非科学・・・特に地震天体起源説や地震雲説・・・を追放すべし。 横井和夫、2005年2月25日。
  3. 3.0 3.1 3.2 地震雲について 地震情報サイトJIS 地震防災ネットワーク
  4. 地震雲 地震被害0をめざして
  5. 地震雲モデル マックスの夢世界(リンクが無効になった)
  6. 地震雲批判(2) 横井調査設計
  7. 地震雲の基本形 地震は予知できる!?(リンクが無効になった)
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