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成層圏突然昇温(せいそうけんとつぜんしょうおん、英:Sudden stratospheric warming または Stratospheric sudden warming, SSW)とは、日々の気温変化が緩やかな成層圏において、突然気温が上昇する現象のこと。突然昇温。

ドイツラジオゾンデによる成層圏の観測を行っていたベルリン自由大学のシェルハーク(Richard Scherhag)が1952年、成層圏の気温が数日で40度以上上昇するのを発見したのが最初である。

メカニズム[]

北半球では寒候期にあたるに発生する。数日間で20K(ケルビン)程度の上昇が起こるが、時に50K以上の急激な上昇が起こることもある。一方、下降に転じるときはその速度が比較的遅い。南半球ではほとんど起こらず、大規模なものはこれまでに2002年9月の一度しか発生していない。

世界気象機関(WMO)は、成層圏で1週間以内に25K以上気温が上昇し、かつ10hPa高度かそれより下の高度において、緯度帯で平均した気温の上昇域が、緯度60度より高緯度に向かって移動するものを、成層圏突然昇温と定義している。またこれに伴い、緯度60度以上の地域で通常は西風の循環であるのが、反転して風になるものを大昇温(major warming)、反転しないものを小昇温(minor warming)と定義している。

ブリューワー・ドブソン循環により、成層圏では通常、にあたる極は低温低圧で、低気圧性の循環に伴う西風、にあたる極は高温高圧で、高気圧性の循環に伴う東風が吹いている。ここに、波長が数千kmのプラネタリー波(惑星波)が伝播してきて、この循環を突き崩すことで、成層圏突然昇温が発生すると考えられている。南半球で突然昇温が起こりにくいのは、プラネタリー波が発生しにくいからである。

成層圏突然昇温の形として、波数が2のプラネタリー波によって低圧領域と高圧領域がそれそれ2つずつ計4つに分裂する波数2型、波数が1のプラネタリー波によって低圧領域が低緯度に移動し高圧領域が高緯度に移動する波数1型などがある。波数1型のうち、アリューシャン低気圧の異常発達により、上空にできるアリューシャン高気圧も発達することで起きるものをカナディアン昇温(Canadian warming)と呼ぶ。

伝播してきた波は、数日の間発達し続けて、極の広範囲を高温高圧にする。その後、ゆっくりと元の状態に戻ってくる。

北半球で3月頃、南半球で11月頃に大昇温が発生すると、稀に高温高圧のまま元に状態に戻らなくなり、そのまま夏になるまで持続する場合がある。これを最終昇温(final warming)という。

発生メカニズムに関して、成層圏準2年周期振動(QBO)との関連性が指摘されているが、異説もある。

出典[]

外部リンク[]

  • The Stratospheric Sudden Warming Website - コロンビア大学の研究グループのページ。「VIEW EVENTS」では過去の昇温における気温や高度場の変化などを参照できる。

関連項目[]

nn:Brå stratosfærisk oppvarming no:Brå stratosfærisk oppvarming

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