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掛け流し(かけながし)とは、温泉浴槽への給湯・排水方法の1つで、源泉から自然に湧出または機械的に汲み上げた温泉を浴槽に供給し、浴槽から溢れ出た湯を循環させず排出すること。循環風呂と対をなす言葉である。

ファイル:Kaike onsen06s3648.jpg

もともとの温泉の利用形態は野湯の状態であり、掛け流しという言葉は用いられることはなかった。対をなす言葉である循環風呂が登場以降も、すぐには掛け流しに対する注目は集まらず、むしろ循環風呂との比較で水を有効利用せずに無駄に垂れ流していると見る者テンプレート:誰 さえいた。

掛け流しに対する注目が最初に集まったのが2000年から2002年にかけて発生したレジオネラ菌騒動である。日帰り入浴施設などに設置された循環風呂設備で繁殖したレジオネラ菌を原因とした死亡事故により、菌の繁殖の温床となった浴槽内循環機を用いない、昔ながらの掛け流しに対して注目が集まった。

その後温泉愛好家の間では、その風呂が掛け流しか循環風呂かが温泉を楽しむ要素として着目されるようになっていった。2004年に発生した温泉偽装問題以降は、顧客の源泉志向に対応するため、源泉掛け流しをうたい文句にする旅館、入浴施設が多くなった。さらに現在では浴室が全戸掛け流しの温泉である事を宣伝文句にしたマンションまで現れている。

なお、掛け流しという表現は、松田忠徳がその著書で自らが初めて用いたと主張している。源泉かけ流しの語は野口悦男が創ったとする見解もある[1]

分類 編集

掛け流しは、浴槽への給湯する前の源泉に対する処理方法で分類できる。

  1. 加温の有無
  2. 加水の有無

加水、加温ともに行わない掛け流しの事を、特に『源泉掛け流し』と呼ぶ。ただ、業界側の解釈として温度を下げるために加水している場合にも『源泉掛け流し』と称している場合が多々見受けられる。 源泉付近で温泉をそのまま利用するいわゆる野湯も掛け流しに分類されるが、通常は整った入浴施設に対しこの用語を用いることが多い。

特徴・効能 編集

掛け流しの浴槽には薬剤を加えていない場合が多く、その温泉の本来の泉質(色、臭い、感触等)が味わえたり、湯に湯の花が多く浮遊していることもある。

このような特徴により、「掛け流しであるか否か」が入浴施設、ホテル旅館を選択するときのポイントの1つとなっているが、掛け流し方式の浴槽に入浴することが、循環方式よりも疾患への効能が高いという証明は今のところなされていない(そもそも一般的に流布している「リウマチに効く」等の泉質別の効果自体、医学的に議論がある)。ただ、「掛け流しの温泉に入った」という満足感がより精神的な安らぎにつながることは考えられる。

判別方法 編集

色・臭いの濃さ、湯の花の浮遊の有無、給湯と湯船の縁から溢れる湯量のバランスが判別方法として取り上げられる。しかしながら色については入浴剤のを使用することにより偽装することも可能であり、臭い、湯の花についてもろ過装置を用いた掛け流しも存在することから、一般的な判別方法は湯船における湯量バランスである。

通常は、湯口から注がれた湯量と、湯船の縁からオーバーフローする湯量のバランスで判断する。特に、湯口から大量の湯が注がれているにも拘らず、湯船から溢れる湯量が少ない場合は循環であることが多い。しかしながら滑りやすい泉質の温泉では、湯船の中に排湯管を立ててそこから排湯を行い、オーバーフローさせずに湯を排出できる構造の湯船を用いている場合もある。

2005年温泉法施行規則が改正され、温泉を使用する入浴施設に掲示する温泉分析書に、

  • 加水
  • 加温
  • 循環・ろ過装置の使用
  • 入浴剤または消毒剤の使用

の有無を明記することが義務付けられたため、これらの記載により掛け流しか否かを判別することができる。

また、日本温泉協会が定め各施設が任意で掲示する天然温泉表示看板にも循環、ろ過、加水等の有無について記載がある。

これらは、2000年代初頭に、温泉入浴施設における入浴剤の使用、循環方式を採用する施設でのレジオネラ菌の繁殖等と併せて、

  • 単なる水道水の風呂を「温泉」と称する
  • 加水しているにもかかわらず「源泉100%」と宣伝する

などの不当表示が社会問題となったことを受けての措置である。

また、気を付けたいのは旅行サイトや温泉の公開しているWebページに表記される、源泉かけ流しの表示である。 これらには法的拘束力がないため、循環装置を利用していても少しでも排水していれば源泉かけ流しと表示できるため、本項目で用いる源泉かけ流しには合致しないことがある。

問題点 編集

掛け流しを行う上での問題点は、湯船の大きさによっては大量の源泉を消費することである。浴槽内の汚れを強制的に吸い込む循環機を備えないため、湯の力だけで汚れを浴槽外に出す必要があるためである。ポンプなどを用いた掘削動力揚湯型の源泉の場合、掛け流しをおこなうために消費が増加しても汲み上げ量増大で対応できるため、源泉の過剰な利用による枯渇の恐れが生じる。自然湧出の場合でも、湯量確保のために新規源泉開発が行われ同様の恐れが生じる。

また、通常の湯船では上から注いで上から排湯する。そのため浴槽の下に汚れが沈んだ場合、清掃が行われるまで汚れが滞留する。十分な湯量がない浴槽では、不衛生な状態に陥りやすい。たとえ十分な湯量を給湯しても、浴槽内で湯が殆ど動かない場所には汚れがたまりやすい。その対策として、清掃は一定頻度で念入りにおこなう必要がある。掛け流しの浴槽でもレジオネラ菌の発見が報告されているのは、清掃が不十分な場合も存在するためである。

脚注編集

  1. NIKKEI NET「正しい温泉は『源泉かけ流し』(野口悦男:第1回)

関連項目 編集

外部リンク 編集

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