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白山
ファイル:Hakusan09.JPG
室堂から望む白山(御前峰)
標高 2,702.17[1]m
所在地 日本石川県白山市岐阜県白川村
位置 北緯36度09分18秒
東経136度46分17秒
[2]
山系 両白山地
種類 活火山ランクC(成層火山
初登頂 717年 (泰澄上人)
白山の位置

白山(はくさん)は、白山国立公園[3]石川県白山市岐阜県白川村にまたがる、標高2,702mである。日本百名山[4]新日本百名山[5]花の百名山[6]及び新・花の百名山[7]に選定されている。最高点の御前峰(ごぜんがみね)には、一等三角点白山神社奥宮がある。 富士山立山と共に日本三名山日本三霊山)のひとつである。

概要[]

白山は、富山県石川県福井県岐阜県の4県にまたがる両白山地の中央に位置し、その最高峰である。山頂周辺は、成層火山となっている。30万年から40万年前から火山活動を始め1659年万治2年)の噴火が最も新しい。最高峰の御前峰(標高2,702m)・剣ヶ峰 (2,677m) ・大汝峰 (2,684m) の「白山三峰」を中心として、周辺の山峰の総称である。そのため厳密には、現在の県境は、石川・福井・岐阜・富山に跨る。また、別山・三ノ峰を加えて「白山五峰」という。「白山連峰」と呼ばれることもある。 北陸地方の中では標高の高い山であるため、他の山では残雪が消えた季節でも「白い山」として遠方からでも一目で判明できる山である。また、白くなった白山は北陸に晩秋が訪れた象徴ともなる。

山名の由来[]

なお、かつては『越白嶺』と書いて『こしのしらね』と呼ばれ、その名残が現在の白山周辺の地名『白峰』として残っている。その後、『白山』と書いて『しらやま』と読む時期を経て、現在の呼称となっている[8]

歴史[]

ファイル:Hakusan Shrine in Murodo 2008-7-1.jpg

室堂から望む白山神社と御前峰

古くから霊峰として白山信仰があり、中世には白山修験の霊山として栄えた。現在日本の各地に、約2,700の白山神社があり白山比咩神社がその総本社である。
  • 706年慶雲3年) - 白山の噴火により山火事が発生したと記録されている。
  • 717年養老元年) - 泰澄上人が開山した[9]
  • 832年天長9年) - 越前・加賀・美濃の三方から白山への登拝道(禅定道)が開かれた。
  • 905年延喜5年)から - 古今集の中で「しらやま」として詠われた。[10]
  • 1163年長寛元年) - 白山の開山から加賀馬場の形成などを記述した『白山縁起』が成立したと推定されている。
  • 1659年万治2年) - 白山が噴火、これが最も新しい噴火である。
  • 1668年寛文8年) - 江戸幕府が地元の藩主から白山周辺の土地を取り上げ直轄領とした。
  • 1871年明治4年)8月29日 - 廃藩置県が行われ、その翌年に白山周辺の土地は、石川県に属するようになった。
  • 1872年(明治5年) - 太政官通達により神社仏閣地の女人禁制が解かれ、鳥取県の女性が白山に初登頂したとされている。
  • 1874年(明治7年) - ドイツ人地質学者であるヨハネス・ユストゥス・ラインが白山に登頂し、採取した化石を調査した。
ファイル:Hakusan Top 2010-6-11.JPG

白山頂上の一等三角点

  • 1893年(明治26年) - 山頂の三角点が一等三角点(点名は白山)に選定された。
  • 1918年大正7年) - 日本百名山著者である深田久弥氏が、中学生の時に友人と二人で登頂。
  • 1921年(大正10年) - 岩間道の登山道が開設された。
  • 1925年(大正14年) - 白山比め神社所有の白山縁起が国の重要文化財に指定された[11]
  • 1955年昭和30年) - 一帯が白山国定公園に指定された。
  • 1962年(昭和37年) - 一帯が白山国立公園に指定された[3]
  • 1977年(昭和52年)8月26日 - 白山スーパー林道が開通。
  • 1980年(昭和53年)8月22日 - 浩宮徳仁親王が別当出合から砂防新道を利用し登頂し、白山室堂に宿泊した[12]
  • 1991年平成3年) - 白山瀬女高原スキー場が営業を開始した。
  • 1999年(平成11年) - 白山室堂(山小屋)が食事提供を中止し、その年間宿泊者数が1万人台に減少した。
  • 2002年(平成14年)8月2日 - 「白山室堂リニューアルオープン式典」が石川県知事参加のもと行われ、食事提供が再開されその年間宿泊者数が2万人台に回復した。
  • 2003年平成15年)7月1日 - 石川県出身の深田久弥が生誕100年である白山の山開きの日に、『山を愛した文学者深田久弥 生誕100年(北陸 石川)』の北陸ふるさと切手が、郵便局から発売された[13]。白山を背景に登山時の人物像が描写されている[14]
  • 2005年(平成17年)2月1日 - 松任市石川郡美川町鶴来町河内村吉野谷村鳥越村尾口村白峰村が合併して白山市となった。
  • 2009年(平成21年)6月2日 - 石川県白山自然保護センターが絶滅したとされていたライチョウの雌1羽を確認した。

地学[]

ファイル:Old volcano mount Haku 2008-10-02.jpg

大汝峰から望む火の御子峰
(古白山火山の浸食跡)

ファイル:Pond Midorigaike 2008-10-2.jpg

山頂部の火口湖の翠ヶ池
(新火山白山)

活火山[]

白山はランクCの活火山である[15]。山頂部には、約15個の爆裂火口があり、一部が翠ヶ池などの火口湖となっている。翠ヶ池の南隣りにある鍛冶屋地獄火口が、最も新しい1559年の噴火で形成されたものと考えられている。

  • 約40万年前 - 加賀禅定道の加賀室跡に成層火山の加賀室火山があったと推定されている[16]
  • 約10万年前 - 山頂北側の地獄谷(手取川水系中川の源流部)付近に、古白山火山が形成された。山体の大部分は浸食で失われ、地獄谷の東側の火の御子峰の荒れた岩肌にその一部を見ることができる。その地獄谷の下流には岩間の噴泉塔群がある。
  • 約3~4万年前 - 現在の山頂部に新白山火山が形成された。
  • 約4,400年前 - 御前峰と剣ヶ峰にあった円錐形の火山は、東側に大崩落して、白水湖まで岩屑崩れが発生した。
  • 約2,000年前 - 剣ヶ峰の溶岩ドームが形成された。
  • 706年慶雲3年) - 白山の噴火により山火事が発生したと『続日本紀』に記録されている。
  • 1042年長久3年) - 白山が水蒸気爆発して、翠ヶ池が形成されたと考えられている。『白山之記』に具体的な火山活動の様子が記録されている。
  • 1554年天文23年) - 翌年に渡って活発な火山活動が続いた。『白山荘厳講中記録』などに詳しい火山活動の様子が記録されている。
  • 1659年万治2年) - 白山が噴火、これが最も新しい噴火である。

地質[]

山域の南東部は中生代ジュラ紀の手取層群の角閃石安山岩輝石安山岩などから成り[17]、北西部は古第三紀から白亜紀後期の新期花崗岩類と濃飛流紋岩類などからなり、山頂付近は白山火山噴出物からなる[18]

化石[]

白山山麓周辺には、日本で数少ない中生代ジュラ紀の古い地層が分布し、日本を代表する恐竜化石の出土地となっている。1874年(明治7年)にヨハネス・ユストゥス・ラインが、白山周辺で植物化石の採集を行った。桑島地区には化石でできた露頭があり、1957年(昭和37年)7月10日に桑島化石壁が国の天然記念物に指定された[19]

自然[]

白山一帯は国立公園(白山国立公園)に指定されている。白山の中腹は急峻なところが多く、道路もほとんど無いため人跡未踏の場所も少なくない。また、国指定白山鳥獣保護区(大規模生息地)に指定されている(面積38,061ha)。周辺は豪雪地帯で、冬には山全体が真白になる。山域の白山市と白川村は、「豪雪地帯対策特別措置法」により、特別豪雪地帯に指定されている。また山頂部には、カンクラ雪渓、水屋尻雪渓、千蛇ヶ池雪渓、ヒルバオ雪渓などの雪渓があり、夏の終わりまで雪が残っていて、万年雪となる所もある。室堂の下部付近から上は、森林限界ハイマツ帯となっている。山頂付近には、最大の翠ヶ池(みどりがいけ)、紺屋ヶ池(こんやがいけ)、油ヶ池、血の池、千蛇ヶ池(せんじゃがいけ)、五色池、百姓池の7つの火口湖がある。最大の池は、大汝峰と剣ヶ峰の間にある翠ヶ池である。[20]

ファイル:Flowers in Hakusan2009 6 25etc.jpg

白山の高山植物

植物[]

白山は日本有数の花の山としても知られ、砂防新道を登る場合、甚ノ助小屋を越えた辺りから、さまざまな高山植物の花畑が広がる。中でもクロユリは日本一の個体数と言われ、群生するさまはみごとである。クロユリは石川県の県花にもなっている。白山の中腹にはブナ原生林が広がり、巨大なブナが林立し、中宮道では幹周5mを越えると言う、日本有数の巨木も有る。

近年、もともと白山には植生しないコマクサが見られるようになり、生態系を乱す行為として種の持ちこみが懸念されている。

「ハクサン」を冠する和名の植物の種[]

ハクサンコザクラハクサンフウロハクサンチドリハクサンシャクナゲハクサンイチゲ(右画像の上段)をはじめ「ハクサン」を冠する植物名は多く、ゴゼンタチバナも最高峰・御前峰に由来している。白山は日本で高山帯を有する山岳としてはもっとも西に位置している。そのため早くから植物の研究が進み、「ハクサン」の名が付く植物が多い。別名を含め20種以上のハクサンを冠する種が自生している[21]。 2010年に石川県環境安全部自然保護課は石川県の絶滅危惧種情報として、ハクサンイチゲ、ハクサンオオバコ、ハクサンスゲを絶滅危惧II類(Vulnerable, VU)に指定し、ハクサンイチゴツナギ、ハクサンコザクラ、ハクサンサイコ、ハクサンチドリ、ハクサンハタザオを準絶滅危惧(Near Threatened, NT)に指定している[22]。岐阜県は、ハクサンアザミとハクサンオミナエシを準絶滅危惧に指定している。 環境省がレッドリストに指定している種はない[23]

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