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粉塵(ふんじん)とは、のように細かく気体中に浮遊する(ちり)状の固体粒子である。「塵」の字が当用漢字外であるため、法令では粉じんと書かれる。

概要[]

大気汚染防止法では、「物の破砕、選別その他の機械的処理又はたい積に伴い発生し、又は飛散する物質」のこととし、ばい煙自動車排出ガスと共に規制している。同法では、人の健康に被害を生じるおそれのある物質を「特定粉じん」、その他を「一般粉じん」と定めている。現在、特定粉じんは、アスベストのみである。これは、アスベスト(石綿)が発ガン物質であるためだが、アスベスト以外の粉じんでも、塵肺を起こす可能性があるため、充分に注意が必要である。

また、労働安全衛生法では、粉塵を業務に危険性または有害性をもたらすもののひとつに挙げている。このため、粉塵の要因となる原料のメーカーや取り扱い業者にはMSDSなどの資料により、現場の作業員に危険性、有害性、対処方法の周知をさせることが定められており、また関係行政機関も粉塵の発散を防止するために、必要に応じて注水するなどの措置を行うよう呼びかけている。

物の燃焼等に伴い発生するものは、煤煙(ばいえん)といい、このうち、いわゆる「すす」のことを煤塵(ばいじん)という。

測定法[]

クリーンルーム内の粉塵の測定法についてはISO 14644-1で規定されている。

クリーンルームでは浮遊微粒子濃度と呼ばれる単位を用い、粒径範囲内の粒子の個数濃度である(個/m3)(個/リットル)(個/ft3)などで表わされる。

一般家庭やオフィスビルなどの建築物内は質量濃度(mg/m3)を用いる。 「建築物における衛生的環境の確保に関する法律」で室内環境基準において浮遊粉塵の量が0.15mg/m3以下と規定されている。


健康被害[]

粉塵を吸い込むと塵肺という病気の原因となる。 このため、一定以上の粉塵が漂う場所での作業には防塵マスクの着用が必要である。

炭鉱労働者は石炭の粉塵による塵肺での死亡が非常に多かった。

粉塵爆発[]

気体中にある一定の濃度の粉塵が浮遊していると、火花などで引火して爆発を起こすことがある。これを粉塵爆発という。

これが起こる原因は、粉塵は非常に細かいので、体積に対する表面積の占める割合(比表面積)がかなり大きいだけでなく、空気中に飛散すると周りに十分な酸素も存在することとなり、燃焼反応に敏感な状態になってしまうためである。炭鉱石炭の微粉末によって起こる炭塵爆発が、その代表例である。他にも小麦粉砂糖の様な食品や、アルミニウム粉末のような金属粉でも粉塵爆発を起こすことがある。このような粉塵爆発事故によって、穀物サイロや工場などの建造物が破壊され、また炎上することになる。


発生状況[]

過去46年間の統計では281件の事故が発生し、負傷者587人、死者110人が出ている。

種類 負傷者 死者
石炭 41 7
金属 158 42
農産物 111 17
化学合成品 62 6
有機化学薬品 68 13
繊維 94 8
その他 25 7

金属粉塵の特性[]

金属粉末は酸化する過程が通常の塊とは異なる挙動を示す、これは酸素イオンによって形成される電気二重層内の電位勾配が塊では一定であるのに対して、微粒子では粒子半径に反比例するためである。 このため、粒子半径が小さいほど酸化されやすい傾向が強くなる。 表面に酸化膜が形成されない種類の金属の微粒子は空気に触れただけで発火する場合もある。 このような特性から本来であれば不燃物であるはずの金属が可燃物となって粉塵爆発を起こす。

粉塵爆発の例[]

ファイル:WashburnAMill.jpg

ワッシュバーン製粉所大爆発の遺構

  • 1878年 - ミネソタ州ミネアポリスのワッシュバーン製粉所で小麦粉による粉塵爆発。18名が死亡。
  • 1899年 - 豊国炭鉱にて日本初の炭塵爆発事故が発生。死者210名を出す大惨事となり、以後、炭鉱内での対策が進むこととなった。
  • 1963年 - 三井三池炭鉱三川坑で炭塵爆発が発生。死者458名、一酸化炭素中毒患者839名を出す戦後最悪の炭鉱事故となった。
  • 2007年 - 新潟県上越市信越化学工業の工場で爆発事故が発生した。現在、粉塵爆発の可能性があるとされている。
  • 2008年 - ジョージア州ポート・ウェントワースの砂糖精製工場で砂糖の封入作業中に粉塵爆発が発生。死者8名、負傷者62名。

粉塵爆発の危険性評価[]

平成14年にJIS規格で測定法が制定されている。

  • JIS Z8817 可燃性粉塵の爆発圧力及び圧力上昇速度の測定方法
  • JIS Z8818 可燃性粉塵の爆発下限濃度測定方法

独立行政法人産業安全研究所からも指針が出されている。

危険性評価は頻度と強度の両面から評価される。 一般的なリスク管理では発生頻度が低いほど安全ではあるが、 爆発事故が発生した場合の被害は設備被害、人的被害の両面で極めて大きいため、僅かな発生頻度でもリスクが高いと評価される。 粉塵爆発の場合には一般的な火薬学の理論は適用できないため。 リスク評価にはFK理論と呼ばれる熱爆発理論を用いた計算が利用されている。

関連項目[]

  • 花粉症
  • アレルゲン
  • エアロゾル
  • 粉体工学
  • 粉粒体
  • ARMS
  • ダストプラズマ

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