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重力(じゅうりょく)とは、物体がその質量比例して受けるである。質量同士の間に働く万有引力が知られるが、遠心力などの慣性力も重力の一種であり、それらの合力が重力となる。慣性力を考慮せず重力をと万有引力を同じものとすることもあるが、ここでは慣性力を含めた重力について述べる。

英語ではグラヴィティ (gravity) で、俗にG(ジー)と略すことがある。

物体が受ける重力の大きさを、その物体の重さ(重量)という。言い換えれば重力とは、重さを生む力である。

素粒子物理学では、自然界に働く4つの力のうちの1つとして扱われる。

なお、誤解の余地がない場合は万有引力を単に引力ということが多い。ここでは電磁気力等は考えないので、万有引力のことを適宜、引力と言う。

歴史編集

物体が質量に比例した向きの重力を受けることは、古典力学の形で定式化はされていなかったものの、アイザック・ニュートンによる万有引力の発見以前から半ば自明のこととして知られていた。ニュートンが明らかにしたのは、重力の正体が、物体と地球との間に働く万有引力だということである。

ニュートンと同時代のクリスティアン・ホイヘンスは、遠心力の公式を発見した。地球の自転はすでに明らかになっていたので、重力は万有引力そのものではなく、万有引力と地球の自転による遠心力との合力だということになった。

エルンスト・マッハは、慣性の力が他の物体との相互作用であるというマッハの原理を主張した。地球外の回転せずに止まっている、つまり、地球から見れば超高速で回転している全宇宙との相互作用が遠心力を生むというのである。

マッハの原理は、アルバート・アインシュタイン一般相対性理論により体系化された。一般相対性理論によれば、万有引力も慣性の力も等価(等価原理)であり、共に、時空の歪みによる測地線の変化である。ただ、万有引力と慣性の力とでは歪みの原因が異なるにすぎない。

アインシュタイン方程式からは、時空の歪みの源は質量ではなく、エネルギー運動量からなるエネルギー・運動量テンソルで決まることがわかる。つまり、質量(エネルギーに比例)だけでなく運動量も時空を歪め、重力を生む。質量は引力を生むのに対し、運動量が生む重力は、引力でも斥力でもない慣性系の引きずりという形を取る。慣性系の引きずりは自転するブラックホールであるカー・ブラックホールで顕著である。慣性力も、地球外の全宇宙による慣性系の引きずりで説明できるとの見方が強い。ただし、いまだ近似計算のみで、厳密な計算はなされていない。

近年では、一般相対性理論での重力を量子化し、量子重力理論にしようとする試みがなされている。ここでの重力とは、万有引力に限らず、慣性の力なども含めた重力の意味である。量子化された重力は重力子と名づけられている。

重力と引力の違い編集

引力とは、他の質量から受ける万有引力である。重力とは、その引力と、慣性の力との合力である。

地球表面の場合は、引力は地球から受ける万有引力、重力はその引力と地球の回転による遠心力との合力である。引力は、地球が球対称ではないため厳密にではないが、ほぼ地球の中心方向に向かう。それに対し重力は、遠心力が加わるため、地球の中心方向からやや赤道寄りに(北半球なら寄りに)ずれ、大きさはやや小さくなる。

慣性の力は座標系に依存するため、重力も座標系に依存する(引力は座標系に依存しない)。そして、基準となる座標系は時と場合により異なる。通常は地球の自転と共に動く回転系で考えるが、乗り物の中などでは乗り物の座標系で考えることもある。たとえば乗り物に乗って「Gがかかる」とか「重力がかかる」とか言った場合は、乗り物の座標系で考えている。

一方、天文学宇宙開発では、宇宙空間のことは適当な慣性系で考えることが多い。すると、慣性の力は存在しないので、重力という言葉を引力と同じ意味で使うことになる。たとえば人工衛星の運動を絶対座標で説明すると、「重力(= 引力)が向心力となって回転運動をしている」となる。あるいは、暗黙のうちに極座標系で考え、「重力(= 引力)と遠心力がつりあっている」となる(極座標で考えているので、地球との距離が変わらない状態がつりあいである。また、ここで言う遠心力とは慣性力ではなく、座標系が直交座標系でないことによる見かけの力である)。一方、人工衛星の座標系で考えれば、引力と遠心力(慣性力)がつりあっており、その合力である重力はゼロ、つまり無重力である。しかし重力がゼロかどうかは、このように座標系によるので、無重力と言う言葉を避け「無重量」と言うこともある。

重力加速度と重力場編集

詳細は「重力加速度」、「重力場」をそれぞれ参照

重力は質量に比例する力なので、その比例定数加速度の次元を持つ。これが重力加速度である。重力以外の力がないときは(自由落下)、あらゆる物体は、質量その他の属性にかかわらず、重力により重力加速度に等しい加速度を受ける。これが落体の法則である。

空間の各点における重力加速度は、重力場を構成する。一般相対性理論の立場からは、重力場は時空の歪みそのものである。

なお、重力加速度は場所の属性だが、重力はそれとは異なり、あくまで物体が受ける力である。「の重力は地球の1/6」のような表現は誤解を招きやすく、厳密に言えば「月の重力加速度は地球の1/6」あるいは「同じ質量の物体が月で受ける重力は地球での1/6」となる。

地球の重力加速度編集

単に重力加速度といった場合は、地球表面の重力加速度を意味することが多い。重力加速度の大きさは、緯度標高、さらに厳密に言えば場所によって異なる。

ジオイド上(標高0)の重力加速度は、赤道上では 9.7799 m/s2と最も小さくなり、北極南極の極地では 9.83 m/s2と最も大きくなる。赤道と極地との差の主な理由は自転による遠心力であるが、自転以外にも地殻岩盤の厚さ、種類、地球中心からの距離などによる影響も若干受ける。このため、重力を精密に測定し、標準的な重力と比較することで地殻の構造を推定することができる。測定手法には絶対重力測定と相対重力測定があり、日本では国土地理院が日本重力基準網として基準重力点を設定している。

国際度量衡会議では、定数として使える標準重力加速度の値を g = 9.80665 m/s2と定義している。

過去の重力論 編集

重力の存在はアリストテレスの頃から知られていた。ただし、アリストテレスは重い物ほど速く落ちると主張していた。その後、ガリレオ・ガリレイが密度の高いものほど速く落ちると主張して問題になった。

しかし、アイザック・ニュートンの万有引力の発見によりそれらは過ちだと知られるようになりアインシュタイン相対性理論を発表した。現在はこの相対性理論が重力を示すもっとも良い理論だとされている。(なお、相対性理論に特殊な係数を入れると万有引力の法則が導き出せる。)


主要な天体の重力加速度 編集

地球での重力加速度を 1 とした場合の、太陽系内の各惑星表面での重力加速度の大きさは以下の通り。


水星 0.376
金星 0.903
地球 1
火星 0.38
木星 2.34
土星 1.16
天王星 1.15
海王星 1.19

注 : 気体が大部分を占める木星型惑星については、大気の最上層部を「表面」とした。

関連項目 編集

ウィクショナリー
ウィクショナリー重力の項目があります。

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