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金星
ファイル:Venuspioneeruv.jpg
金星の大気
アルベド 0.65
表面温度
最低*平均最大
228 K737 K773 K
(*最低温度は雲の上層部のみで観測される)
大気圧 9321.9 kPa
二酸化炭素 ~96.5%
窒素 ~3.5%
二酸化硫黄0.015%
水蒸気0.002%
一酸化炭素0.0017%
アルゴン0.007%
ヘリウム0.0012%
ネオン.0007%
硫化カルボニル

塩化水素

フッ化水素
わずか
ファイル:Venustransit 2004-06-08 07-44.jpg

2004年6月8日に起こった金星の日面通過。日面通過を利用し地球からも金星の大気を調べることができる。次回の日面通過は2012年。

太陽系太陽に二番目に近い惑星である金星大気(きんせいのたいき)は、地球の大気と大きく異なっている。地球の大気に比べて金星の大気は密度が高く、より高い高度まで続いている。その大気に浮かぶアルベド(反射能)が高く、レーダーや他の手段を利用しない限り地表を見ることができない。そのため、1989年に打ち上げられた探査機マゼランが到着するまでは、金星の地表を調べることはできなかった。

金星の大気は殆どが二酸化炭素からなっている。また、金星の地表付近の気圧はとても高いため、温度は平均500度にも達する。このため、金星に送られた探査機は殆どが地表に到達する前に押し潰されたり、地表に到達してもわずか1時間ほど地球と通信することしかできなかった。しかし、高度約50~65kmでは気圧と温度は地球と殆ど同じであり、金星の大気のこの層は、太陽系の中では最も地球と似ている環境とも言える。しかも人が呼吸に用いている空気(窒素78%、酸素21%)は地球上でのヘリウムのように金星では自然に上昇するガスなので、これを利用して金星の大気のこの層に植民を行おうという声もある[1]

ファイル:Venera 7 capsule.jpg

初めて金星から地球に連絡することに成功した探査機であるベネラ7号。金星の気圧は非常に高いにも関わらず、ベネラ7号は1時間近くも地球に金星の地面と大気について情報を送ってきた。

欧州宇宙機関が打ち上げた探査機ビーナス・エクスプレスは、2006年4月に金星に到着した。最新技術を利用しているこの探査機は、金星の昼である地域では密度の高い雲が高度20kmにあり、より一般的な雲は65kmまで続くが、夜である地域では雲がなんと高度95kmまで続くという事実を発見した[2]。金星の自転周期は 243.0187 日(逆行)と遅く、金星の夜は約120日も続く。雲の影響で温度は昼も夜もほとんど同じであるが、太陽の影響が少ない夜の地域では、雲がより高くまで続いているようである。

マゼランが地球に送った情報によると、金星は高度50km以上からは気圧と気温が地球と似てくる。高度52.5kmと54kmの間での気温は37度と20度で、高度49.5kmでは気圧は地球の海抜0mと同じである[3]。地球でも海抜によって気圧は変わる。例えば、ボリビアの首都であるラパスの気圧は海抜0mと比べ61%しかなく、ウェンジャンというチベットにある世界一標高の高い町は、海抜5100mになるにもかかわらず人が住んでいる。その位の気圧となる金星のこの高度では、気圧の面では人が住むのに問題はないと言える。金星は重力も地球の90%で、殆ど同じという長所もある。

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ファイル:Venusatmosphere2.GIF

高度
(km)
気温
(°C)
気圧 (地球=1)
0 462 92.10
5 424 66.65
10 385 47.39
15 348 33.04
20 306 22.52
25 264 14.93
30 222 9.851
35 180 5.917
40 143 3.501
45 110 1.979
50 75 1.066
55 27 0.5314
60 -10 0.2357
65 -30 0.09765
70 -43 0.03690
80 -76 0.004760
90 -104 0.0003736
100 -112 0.00002660

金星の風の速度は、高度によって大きく異なる。地表での風は遅く、平均で秒速0.3~1.0mにしかならない[4]。しかし、高い雲では突然風速が秒速95mにもなる。この現象をsuperrotation(超回転)と呼ぶが、なぜ金星では地球と異なり、高度によってこれほど風速が異なるのかはまだ分かっていない。この謎を解明するのはビーナス・エクスプレスの目的の一つである。

参考文献[]

  1. Colonization of Venus (pdf), Geoffrey A. Landis, Conference on Human Space Exploration, Space Technology & Applications International Forum,Albuquerque NM, Feb. 2-6 2003.
  2. Flying over the cloudy world – science updates from Venus Express, Venus Today, Wednesday, July 12, 2006.
  3. Venus Atmosphere Temperature and Pressure Profiles - Shade Tree Physics
  4. Venus, atmosphere - The Encyclopedia of Astrobiology, Astronomy and Spaceflight

cs:Atmosféra Venuše it:Atmosfera di Venere lt:Veneros atmosfera vi:Khí quyển Sao Kim

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