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隕石(いんせき、meteorite)は、地球以外の天体の小片が地上に落下したものである。「流星が燃え尽きずに地表に落ちたもの」と説明されることもあるが、隕石の起源天体と流星物質の起源天体は必ずしも同種ではないので[1]、正しい表現ではない。

隕石の分類 編集

ファイル:Inseki32.JPG
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金属(Fe)とケイ酸塩鉱物の比率で大きく3つに分類される。

鉄隕石(隕鉄) iron meteorite
主に金属鉄(Fe-Ni合金)から成る隕石。数百万年の時間スケールでの冷却によって生じるウィドマンシュテッテン構造が特徴的な模様として現れる。地域によっては、農具などに利用されていた。稀に、刃物に加工されることがあるが、通常の鋼材と違って焼き入れが難しいため、刃物には向かないとされる。また、日本式の「鍛錬」(詳しくは日本刀を参照)は困難である。
石鉄隕石 stony-iron meteorite
ほぼ等量のFe-Ni合金とケイ酸塩鉱物から成る隕石。固体惑星に似た組成の小天体のうち、概ね直径100km以上のものは内部が融解し得ると考えられている。小天体の内部で融解が生じれば、重力によって成分分離が起こり、密度の大きい金属が中心に集まってとなり、これをより密度の小さい岩石質の物質が包んでマントルとなる。このような小天体が、相互衝突などによる何らかの外力を受けて破壊されたものが、隕石として地表に落下してくる天体小片であると考えられる。中心核が鉄隕石であり、マントル部が石質隕石である。小天体の中心核とマントルは明瞭な境界があるのではなく、境界領域では金属鉄と岩石が混在する。これが石鉄隕石の起源物質であると考えられている。
石質隕石 stone meteorite
主にケイ酸塩鉱物から成る隕石。石質隕石は更にコンドルール(chondrule)を含むか含まないかで大別される。含む物をコンドライト(chondrite)、含まない物をエイコンドライト(achondrite)と呼ぶ。

日本の保有する隕石編集

日本は国土が狭いため、国内に落下した隕石の数はそれほど多くない。隕石と認定されたものは50個ほどである。

しかし、南極地域観測隊が1969年にやまと山脈のふもとに集積していた9個の隕石を採集したことに端を発し、その後、南極の特定の、ある条件を満たした場所(基本的には山脈のふもと)に隕石が集積するシステムが明らかになり、現在まで16,700個(極地研より)の隕石を発見・回収した結果、日本は世界でもっとも多くの隕石を保有する国となった。南極で発見された隕石の大半は国立極地研究所の南極隕石研究センターが保管しており、分類と研究が進められている。

なお、日本の隕石のうち最古のものは、861年5月19日貞観3年4月7日)に福岡県直方市に落下し、須賀神社に保存されている直方隕石(0.472kg)である。これは、落下記録が残っている隕石で、現存するものとしては世界最古のものである(従来は1492年11月7日アルザスエンシスハイムEnsisheim)に落下したもの(127kg)だった[1])。

隕石の命名編集

慣行として、落下地点における配達を受け持つ(郵便区とする)集配郵便局の名がつけられる。隕石が落下中に分解した場合、最も質量の大きい破片が落下した地点を郵便区とする郵便局の名がつけられる。

郵便局の名にすることにしたのは、発見者の名をつけることにした場合、誰が発見者かが争われる場合があるためである。隕石はどこに落ちるか分からず、例えば砂漠の只中に落ちた場合、その地域を管轄する警察署や消防署は存在しない場合がある。しかし、その地域を郵便区とする郵便局だけは、どこの国でも必ず存在する。このため、配達受け持ち郵便局の名を隕石の名とすることが世界的な慣行になっている。

同一郵便区内に2個以上の異なる由来の隕石が落下した場合、(a)、(b)、(c)とアルファベットの符号をつけて区別する。

南極の隕石の命名 編集

南極で発見された隕石は、総称して南極隕石と呼ばれる。

このうち、日本の南極地域観測隊がやまと山脈で発見した隕石は、総称してやまと隕石(Yamato meteorites)と呼ばれる。当初は命名規則どおり、(a)、(b)、(c)などの符号をつけて識別していたが、数が膨大になったため、現在は「やまと75105」などと番号で呼ばれる。5桁の数字の上2桁は発見年を示し、残りの3桁はその年に発見された隕石の通し番号を示している。この隕石はやまと山脈で1975年に発見された105番目の隕石であることを意味している。この命名は、正式な命名規則が決定するまで、暫定的に国際的に認められることになっている。

隕石発見時に行う手続き編集

隕石は落下時に、地球の重力によって激しく分解され、大気との摩擦で激しく発熱する。このとき隕石表面が融け、溶融殻(Fusion crust)が出来る。この溶融殻があるかないかが最も簡単な隕石の見分け方であろう。しかし、一般に隕石かどうかの判定は専門家でないと困難である。また、落下直後ならば見つけやすい。屋根を突き破って落ちてきたり、木の枝が折れていて下に見慣れない岩石があったときは隕石である可能性が高い。また、火球が観測された翌朝に発見されることも多い。

しかし、実際に隕石が発見されるのは極めて稀である。山中や川原などで隕石のように見える石を見つけても、ほとんどは地球上に存在する鉱物、岩石、もしくは鉄鉱石を人間が加工した人工物である。

いずれにしても鑑定するには大学の研究室やそれに類する研究機関に送付する必要がある。実際の鑑定としては、落下直後ならば、隕石中に含まれる放射性核種の壊変(崩壊)に伴う放射線の測定。また、酸素同位体測定、希ガス同位体測定などの同位体比測定は地球上の物質と地球外物質を区別することが出来る強力な手段である。しかし、これらの測定は破壊分析のため用いる試料が微量(数μg~数mg)必要となる。隕石は大気圏突入前まで宇宙線に曝されているため、エネルギーの高い宇宙線による隕石構成元素の核破砕反応によって様々な核種が生成される。これらには当然放射性核種も含まれる。中には極めて短寿命の放射性核種も存在するため、落下直後(数時間以内)に測定を行うことは、核宇宙化学にとって非常に重要である。

隕石と称して岩石を売る業者(国内外問わず)があるが、本物である可能性は極めて低い。これも鑑定が困難なことに起因している。

日本では、一般に、最初に拾い上げた人物が所有権を主張することができるとされる。ただし、私有地において見つけた(拾い上げた)場合、地面にめり込んでいるかいないかで所有権が分かれ、埋まっている場合は、土地の所有者の物とされ、埋まっていない場合、拾い主に権利がある。この場合の私有地は山や、空き地ではなくアパートなどの共同で使用する場所である。土地の所有者が真剣に所有権を主張した場合、この限りではない。

海外では、隕石や化石の国外への持ち出しを禁じている国もあるので、海外で隕石や化石を手に入れた場合はその国の法律を確認し、注意して取り扱う必要がある(海外で業者から購入する場合も同様)。

隕石に纏わる地名編集

日本では、隕石を信仰していた例もある。このため、地名などにその名が散見される。

今ではイスラム教の聖地であるカアバ神殿の御神体は、もともと「月からの隕石」であると伝えられていた。

脚注 編集

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  1. 渡部潤一他編 『シリーズ現代の天文学9 太陽系と惑星』 p.140, p.163-164、日本評論社、2008年、ISBN978-4-535-60729-3

関連項目編集

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参考文献 編集

外部リンク 編集

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