FANDOM


IPCC第4次評価報告書(あいぴーしーしーだいよじひょうかほうこくしょ、IPCC Fourth Assessment Report)とは、国連の下部組織である、気候変動に関する政府間パネル(IPCC)によって発行された、地球温暖化に関する報告書である。温暖化の原因・影響・対策などについて、現在までに得られている科学的な知見を集約・評価している[1]地球温暖化に関して、現時点で最も多くの科学的知見を集約し、かつ国際的に広く認められた報告書である。

その内容[2]では人類の活動が地球温暖化を進行させていることと、それにより深刻な被害が生じる危険性が指摘されている。また人類が有効で経済的に実行可能な対策手段を有しており、20~30年以内に実効性のある対策を行うことで被害を大きく減らせるであろうこと、それには現状よりも早急かつ大規模な取り組みが必須であることも指摘されている。

報告書の表題は"IPCC Fourth Assessment Report: Climate Change 2007"である。AR4とも略される(以下、本記事でも用いる)。

概要 編集

AR4は2001年のIPCC第3次評価報告書(TAR)に続く評価報告書として、2002年4月に作成が決定した。 3年の歳月、130ヵ国以上からの450名超の代表執筆者・800名超の執筆協力者による寄稿、および2500名以上の専門家による査読を経て、2007年2月より順次公開され、IPCCのサイトなどから誰でも入手可能となっている。過去のIPCCによる3回の評価を下敷きに、TAR以降に得られた新しい知見を組み込んでいる。

作業は下記3つの作業部会(Working Group, WG)に分かれて進められた。

また上記3つの内容をまとめた統合報告書も公開されている。

各報告書は Summary for Policymakers (SPM;政策決定者向け要約)、Technical Summary(TS)などの要約、および個別の章から構成される。いずれも電子情報や印刷物の形で入手可能となっている(#外部リンクの節も参照)。日本においては環境省がAR4に関する情報を集約したサイトを提供し、また概要をまとめたプレゼンテーション一般向けの解説パンフレットを公開している。

また報告書では個々の予測内容や調査結果について不確実性に関わる情報も提供しており、「可能性」(likelihood)および「信頼性」(confidence)の評価も行っている。

第一作業部会報告書:自然科学的根拠 編集

2007年2月に第一作業部会(WG I)による報告書"The Physical Science Basis"(自然科学的根拠, AR4 WG I)が発行された。 この報告書は気候システムおよび気候変化について評価を行っている。多くの観測事実とシミュレーション結果に基づき、人間による化石燃料の使用が地球温暖化の主因と考えられ、自然要因だけでは説明がつかないことを指摘している。

報告書には下記のような内容が含まれる。

人為起源及び自然起源の気候変化要因 編集

Radiative-forcings.svg

各要因別の放射強制力の評価結果。正の値が大きいほど、地球温暖化を促進する効果が高いことを示す。最右端の人為的要因の合計に比べ、太陽放射の変化によるものは10分の1以下である。

  • 大気中の二酸化炭素、メタン、一酸化二窒素の濃度は、産業革命前よりはるかに高くなっている。(図SPM-1, 2.3, 6.4, 7.3)
  • 二酸化炭素の増加は、主に人間による化石燃料の使用が原因である。(7.3)
  • 二酸化炭素は、人為起源の温室効果ガスの中で、最も影響が大きい。この他、メタン一酸化二窒素ハロカーボン類なども影響したと考えられる。(図SPM-2, 2.3, 7.3)
  • 1750年以降の人間による活動が、地球温暖化の効果(正の放射強制力)をもたらしている(信頼性:高)。太陽放射の変化による増加分よりも、人為起源の変化の総量の方が10倍以上大きいと見積もられる。(2.3, 6.5, 図SPM-2, 2.9, 図2.20)

近年の気候変化の直接観測の結果 編集

  • 気候システムの温暖化には疑う余地がない。(図SPM-3, 3.2, 4.2, 5.5)
  • 1906年~2005年の気温上昇幅は0.74℃である。これはIPCC第3次評価報告書の0.6℃よりも大きい。(3.2)
  • 1956~2005年の昇温傾向は10年あたり0.13℃である。これは1906~2005年の傾向のほぼ2倍である。(3.2)
  • 世界の平均海洋温度は、少なくとも水深3000mまでは上昇している。気候システムに追加された熱の8割超が海洋に吸収され、海水を膨張させて海面水位の上昇に寄与している。(表SPM-1, 5.2, 5.5)
  • 山岳氷河と積雪面積は減少している。(表SPM-1, 4.6, 4.7, 4.8, 5.5)
  • グリーンランドと南極の氷床の減少が海面水位の上昇に寄与した可能性がかなり高い。(表SPM-1, 4.6, 4.8, 5.5)
  • 先世紀(20世紀)中の海面上昇量は0.17(0.12~0.22)mと推定される。この観測値は信頼性が高い。(5.5)
  • 1970年以降、特に熱帯地域や亜熱帯地域に於いて、より厳しく、より長期間の干魃が観測された地域が拡大した。(3.3)
  • 極端な気温(extreme temperatures; 極端な高温や低温)現象の発生頻度の広範な変化が観測された。寒い日・寒い夜・霜が降りる日の発生頻度が減少し、暑い日・暑い夜・熱波の発生頻度が増加した。(表SPM-2, 3.8)
  • 北大西洋の熱帯低気圧の強度が増加した。その他の地域でも熱帯低気圧の活動度の強度増加が示唆されるが、人工衛星による観測開始前のデータの品質により大きな懸念がある。熱帯低気圧の年間発生数には明確な傾向がない。(3.8)

古気候学的な観点 編集

  • 少なくとも過去1300年間の気候の再現結果からみる限り、この半世紀に見られた温暖化は異常である。(6.4, 6.6)
  • 約12万5千年前、現在よりも遙かに気温の高かった時代、両極域の氷雪の減少は海面を4~6m分上昇させたと考えられる。(6.4, 6.6)

気候変化の理解と原因解析 編集

  • 20世紀半ばから見られている平均気温の上昇は、人為的な温室効果ガスの増加によるものである可能性がかなり高い。(9.4, 9.5)
  • 観測事実を踏まえた気候モデルの解析により、放射強制力に対する理解の信頼性が向上した。気候感度に対し、初めて「可能性が高い」と言えるようになった。(6.6, 8.6, 9.6, 囲み10.2)
  • 二酸化炭素濃度が倍になった場合の平均気温の上昇幅は2~4.5℃と見積もられ、1.5℃以下である可能性はかなり低い。4.5℃以上である可能性もあるが、この値ではモデル間の差異が大きい。(8.6, 9.6, 囲み10.2)

今後の気候変化の予測結果 編集

  • 今後20年間の気温の上昇ペースは10年当たり約0.2℃と予想される。全ての温室効果ガスとエアロゾルが2000年当時の水準に保たれた場合は、10年あたり約0.1℃上昇すると推定される。(10.3, 10.7)
  • 温室効果ガスが現状またはそれ以上のペースで排出され続けた場合、温暖化が進行し、地球の気候に多くの変化を引き起こし、その影響は20世紀中に観測されたものよりも大きくなる可能性がかなり高い。(10.3)
  • 今世紀末における平均気温の上昇幅の予測結果は、今後の人為的な排出量のシナリオ(SRESシナリオ)によって1.1~6.4℃まで異なる。(図SPM.5)
  • 海面の上昇量の予測結果は、今世紀末において18~59cmと予測されている。(表SPM.3)
  • 温暖化により、陸域と海域における二酸化炭素の吸収量が減少する。これにより、人為的な排出による影響量が増大する。(7.3, 10.5)
  • 温室効果ガスが一定の濃度に保たれたとしても、気候プロセスとフィードバックの時間的スケールの長さのため、人為的な温暖化と海面上昇は何世紀にもわたって続く。(10.4, 10.5, 10.7)

第二作業部会報告書:影響・適応・脆弱性 編集

2007年4月に第二作業部会(WG II)による報告書"Impacts, Adaptation and Vulnerability"(影響・適応・脆弱性)が発行された。この報告書は気候変化による自然および人類の環境への影響、およびそれらの適応性と脆弱性に関する現時点での科学的知見がまとめられている。具体的には気温や水温の変化や水資源、生態系などへの影響のほか、人間の社会に及ぼす被害の予測結果などについて、現在までにわかっている事項をまとめている。

報告書には下記のような項目が含まれる。

気候変化による自然および人類の環境への影響に関する現時点での知見 編集

  • 自然環境が地域的な気候変化による影響、特に気温の上昇による影響を受けている。(1.3, 4.4, 8.2, 14.2, 15.4)
  • 氷河の減少、永久凍土の減少、大洋における生態系の変化
  • 湖沼や川の水温上昇
  • 陸域における生態系の変化(春期の変化の早まり、極域や高地への動植物の移動)
  • 海水の酸性化
  • 人為的な温暖化の影響が既に物理的・生物学的に表れている可能性が高い。これは下記の4つの事実から導かれる結論である:
1.第一作業部会の報告から、人為的な温室効果ガスの増加が現在観測されている地球温暖化の殆どをもたらした可能性がかなり高いと結論づけられる。
2.多くの物理的・生物学的な変化を示す75の研究の29000以上の観測データのうち、89%以上が温暖化による変化の方向と合致する。(図SPM.1, 1.4)
3.温暖化が顕著な地域と、温暖化と矛盾しない顕著な変化が観測された地域の一致が、自然起源の要因だけでもたらされている可能性はかなり低い。(図SPM.1, 1.4)
4.たくさんの研究が、観測事実との比較によって人為的要因と自然要因をはっきりと区別している。自然要因だけよりも、人為的要因を考慮した予測の方が遙かによく観測事実と整合する。(1.4)
  • その他にも自然や人間の環境への影響が現れ始めている。
  • 氷河湖決壊のリスク増大(1.3)
  • アフリカにおける乾期の長期化と降雨の不定性増大(1.3)
  • 海面上昇による海岸線での湿地やマングローブの減少、高波・洪水被害の増加(1.3)

将来の影響に関する現時点での知見 編集

  • 水資源
  • 水資源の大幅な増減、雪解け水の減少(3.4)
  • 旱魃の影響の増大、豪雨の増加、洪水の危険性の増大 (WGI 表SPM-2, WGII 3.4)
  • 生態系
  • 生態系の回復力を超える影響がある可能性が高い(4.1~4.6)
  • 陸域の生態系による炭素の吸収量は今世紀半ばに飽和し、その後は減少する可能性が高い。現状以上の水準の排出が続いた場合、排出に転じる可能性すらある。これは気候変化を加速する。(4.ES, F4.2)
  • 1.5~2.5℃の平均気温上昇により、約20~30%の種の動植物が絶滅の危機に瀕する。(4.4, T4.1)
  • 1.5~2.5℃を超える上昇幅では、生態系の構造や機能に大きな変化が予測される。これにより、水や食料の供給などにも悪影響が予測される。(4.4)
  • 海洋の酸性化の進行により、珊瑚や貝類、さらにそれらに依存する種に悪影響が予測される。(B4.4, 6.4)
  • 食料、繊維、森林資源への悪影響(5.4, 5.5, 5.6)
  • 海岸地域や低地への悪影響(6.3, 6.4, 6.5, T6.11)
  • 工業、居住、社会への悪影響(5.4, 7.1~7.5)
  • 健康への影響 (8.ES, 8.2~8.4)
  • アフリカ、アジア、欧州、米国、両極域など、地域別の具体的な予測
  • 長期的な大規模な変化
  • 1~4℃の平均気温上昇により、数世紀または数千年の間に4~6mまたはそれ以上の海面上昇がおこる(中程度の信頼性)。グリーンランドや西南極氷床が完全に融解した場合、それぞれ7mおよび5mの海面上昇を起こす。(WGI 6.4, 10.7, WGII 19.3)
  • 海洋循環の速度低下と海洋の温度上昇、およびそれによる生態系、漁業、海洋による二酸化炭素の吸収、海水中の酸素濃度や陸域の植生への影響(WGI 10.3, 10.7, WGII 12.6, 19.3)
  • 気候変化による各種コストの増大
  • 2~3℃を超える平均気温の上昇により、全ての地域で利益が減少またはコストが増大する可能性がかなり高い。(9.ES, 9.5, 10.6, T10.9, 15.3, 15.ES)
  • 炭素1トン当たりの社会的コスト(social cost of carbon:SCC)は$10~$350(平均$12/t)と推定されている。(20.6)
  • 気候変化による被害は重大なものになり、時間と共に増大する可能性が高い。(T20.3, 20.6, F20.4)

気候変化への対処に関する現時点での知見 編集

  • 現時点でも対処は始まっているが、その規模は限られている。(7.6, 8.2, 8.6, 17.ES, 17.2, 16.5, 11.5)
  • 現状よりも大規模な対処が必要である。広範な対応手段が存在する。(7.6, 17.2, 17.4)
  • 持続的な発展は気候変化を緩和できる。逆に気候変化は持続的発展を妨げ得る。(20.3, 20.7, 3~8章の7節)

第三作業部会報告書:気候変動の緩和策 編集

ファイル:IPCC AR4 WGIII GHG concentration stabilization levels.png

第三作業部会(WG III)による報告書"Mitigation of Climate Change"(気候変動の緩和策)が2007年10月に発行された。この報告書は気候変化の緩和について、科学的、技術的、環境的、経済的、社会的な面からの評価を行っている。これまでに有効性が確認された緩和策や、今後普及が期待される緩和策を列挙している。また、緩和策を講じた場合のシナリオを大気中の二酸化炭素濃度に応じて6つの「カテゴリー」に分類し、それぞれについて緩和コストや被害の予測を示している。自助的努力や様々な政策の効果と役割についても言及している。[3]

温室効果ガス(GHG)の排出傾向 編集

  • GHGの排出量は1970年から2004年までの間に70%増加した。
  • 最も増えたのはエネルギーセクションからの排出であり、145%増加した。(1.3, 6.1, 11.3, 図1.1, 図1.3)
  • 気候変化やエネルギーセキュリティ、持続的発展に関する様々な政策には、多くの国や地域で気候変化の緩和に有効なものが見られる。しかしこれらの規模は地球規模の排出量を抑制するにはまだ十分でない。(1.3, 12.2)
  • 現状の緩和政策や持続的発展策だけでは、世界のGHG排出量は今後数十年にわたって増え続けると予測される。(1.3, 3.2)

短・中期的な緩和策(2030年まで) 編集

  • 今後数十年間の間にGEG排出量の増加を抑制したり、現状以下の排出量にすることは経済的に可能である。(3.6, 10.4, 11.3)
  • 最終的に二酸化炭素濃度を445~535ppmに抑えることによるGDPへの影響は、2030年時点で3%未満の減少と予測される。これは年当たりの成長率にして0.12%未満の減少である。ただし影響量は地域により異なる。(表SPM.4, 囲みSPM.3, 3.3, 3.4, 11.4~11.6)
  • 全ての分野において、生活や行動の様式を変えることで気候変化を緩和することが可能である。(4.1, 5.1, 6.6, 6.7, 7.3)
  • GHG排出量の削減により大気汚染が減少し、緩和策のコストをその分削減する効果をもたらし得る。(11.8)
  • 先進国(Annex I countries)の行動は世界の経済とGHG排出量に影響を与える。ただし炭素リーケージ(ある地域で排出を抑制することに伴う他地域での排出量増大分)の影響量には不確実性が存在する。(11.7)
  • GHG排出量の抑制と気候変化の緩和策について:
  • 下記のような手法の有効性が指摘されている。
  • 低排出なエネルギー源の開発・利用((再生可能エネルギーコジェネレーション原子力石炭から天然ガスへの移行、など)(4.3,4.4)
  • 二酸化炭素の回収・貯留(CCS) (4.3,4.4)
  • エネルギー設備の更新、エネルギーセキュリティの確保の政策。(4.1~4.5, 7.3, 11.3, 11.6, 11.8)
  • 運輸部門における緩和技術の適用(低燃費車、ハイブリッド車クリーンディーゼルバイオ燃料車など)(5.4)
  • 既存・新築の建造物のエネルギー効率の向上。これは副次的な利益も大きい。(6.4~6.8)
  • 工業部門、特にエネルギー集約型産業におけるエネルギー消費量や排出量の削減。(7.1, 7.3, 7.4, 7.6)
  • 農業部門における土壌への炭素固定促進、GHG排出量の抑制、バイオマスエネルギー資源の供給。(8.4, 8.5, 8.8, 8.10)
  • 森林を活用した緩和策(緑化、森林の管理、バイオマスエネルギー利用など)。(9.4, 9.5, 9.7)
  • 廃棄物利用。(10.3~10.6)
  • 下記のような要因が障害として挙げられている。
  • 運輸部門における需要増加、消費者の嗜好や政策の欠如。(5.3~5.5)
  • 地球工学的対策技術(海洋への鉄散布、大気中の二酸化炭素の直接除去、太陽光の大気上層での遮蔽など)の効果は概して不確かで立証されていない。(11.2)

長期的な緩和策(2030年以降) 編集

  • 環境中のGHG量を抑制した水準に保つには、GHG排出量をどこかで減らし始めなければならない。その時期が早いほど、温暖化の影響は小さい。(表SPM.5,図SPM.8)
  • 今後20~30年間の緩和努力が大きな影響力を持つ。
  • 多くの予測シナリオにおいて、下記のような技術が引き続き重要視されている。(図SPM.9, 3.3, 3.4)
  • こうした緩和策への投資と世界規模での普及について:(2.7, 3.3, 3.4, 3.6, 4.3, 4.4, 4.6)
  • 公的・私的両面での研究・開発・デモンストレーション(RD&D)が必要である。これによる公的な便益は民間部門が得る便益よりも大きく、公的な支援は明らかに正当である。
  • 開発・普及などの過程における障壁を取り除いて目標を達成するには、適切な奨励策が有効になり得る。
  • 2050年における緩和策のコストは、平均でGDPの1~5.5%と予測される。(表SPM.6,囲みSPM.3,SPM.4)

政策、手法や手段 編集

  • 気候変化の緩和に有効な政策や手法は下記のように数多い。その効果は制度の出来(design)に依存する。(7.9, 12.2, 13.2, 13.4、表SPM.7)
  • GHG排出量に関する規制や標準、環境税(炭素税)、排出権取引化石燃料に対する補助金の削減(4.5)
  • エネルギー部門:再生可能エネルギーに対する固定価格買い取り制度(フィードインタリフ制度)の適用や助成、利用の義務づけ(4.5)
  • 運輸部門:燃費や排出量規制、バイオ燃料の混合、課税、公共交通の利用促進など
  • 建物部門:規制、標準化、認証、助成策など
  • 工業部門:ベンチマーク情報の提供、助成、税の減免、自主的努力の要請など
その他の部門でも助成や規制が有効である。
  • 産業と政府の間で取り決められる自助的努力の協定は、関係者の注意を喚起し、政策の発達の一翼を担ってきた。多くは顕著な効果を挙げるまでに至っていない。しかし少数の国では、計測できるほどの排出量削減につながっている。
  • UNFCCCとその京都議定書により、気候の問題に関する世界的な注意を喚起され、将来の緩和策に繋がる仕組みの構築がはじまった。(1.4, 11.4, 13.3)
  • 成功する国際的な緩和協定は費用対効果の面で有効であり、公正であり、かつ実行可能である。(13.3)

持続的発展と気候変化の緩和 編集

  • 持続的発展への転換は、気候変化を大きく緩和することが可能である。そのためにはいくつもの障壁が取り除かねばならないかも知れない。(1.2, 2.2, 2.5, 3.3, 3.5, 4.5, 5.4, 6.6, 6.9, 7.8, 8.5, 9.5, 9.7, 10.5, 11.9, 12.1~12.3)

知識面でのギャップ 編集

  • 特に途上国において、気候変化の緩和策に関する知識のギャップが激しい。このギャップに関する研究を進めることにより、将来の不確実性が減少し、気候変化の緩和策の立案がより容易になるだろう。(TS.14)

統合報告書 編集

統合報告書(Synthesis Report; SYR) が2007年11月のIPCC総会(スペイン)にて採択され、同年末に公開された[4]。3つの作業部会による報告内容を踏まえ、下記のようなメッセージを世界に発信している[5]

  • 気候変化はあらゆる場所において、発展に対する深刻な脅威である。
  • もう疑っている時では無い。我々を取り巻く気候システムの温暖化は決定的に明確であり、人類の活動が直接的に関与している。
  • 現在進行している地球温暖化の動きを遅らせ、さらには逆転させることは、我々の世代のみが可能な(defining)挑戦である。

こうした内容は、統合報告書のSPMに要約されている[6]

IPCC議長のPachauri博士は、AR4 SYRの発表を次のガンジーの言葉で締めくくっている:「この世界の内に望む変化に、あなた自身が成ってみせなさい。」[5]

使われている表記 編集

SPMにおいては、下記のような表記が用いられている[7][3][8]

可能性(likelihood) 編集

成果または結果の可能性の評価と示すため、専門家の判断に基づいて、発生確率ごとに下記のような用語が用いられている。

  • 発生確率>99%:「ほぼ確実である」(virtually certain)
  • >95%:「可能性が極めて高い」(extremely likely)
  • >90%:「可能性がかなり高い」(very likely)
  • >66%:「可能性が高い」(likely)
  • >50%:「どちらかと言えば」(more likely than not)
  • <33%:「可能性が低い」(unlikely)
  • <10%:「可能性がかなり低い」(very unlikely)
  • <5%:「可能性が極めて低い」(extremely unlikely)

信頼性(confidence) 編集

基礎となる科学的知見(underlying science)の信頼性について、専門家の判断に基づいて下記のような表記が用いられている。

  • 10のうち9が正しい:「信頼性がかなり高い」(very high confidence)
  • 10のうち8が正しい:「信頼性が高い」(high confidence)

不確実性(uncertainty) 編集

特定の記述内容の不確実性の表現として、専門家の意見の一致水準(Level of agreement)と、証拠の量(個々の原典の質と量)(Amount of Evidence)の二種類の尺度が提供されている。

気候変化(climate change) 編集

IPCCが用いるclimate changeという用語は、自然変動と人間活動の影響を区別していない。これは気候変動枠組条約における用法(「気候変動」=人間活動に起因する気候の変化)とは異なる。このため気象庁訳では条約とは異なる「気候変化」が訳語として用いられている[9]

脚注 編集

[ヘルプ]

関連項目 編集

外部リンク 編集

AR4の報告書は全て下記のIPCCの公式サイトより自由に入手可能となっている。

また日本においては環境省がAR4に関する情報を集約したサイトを提供し、また概要をまとめたプレゼンテーション一般向けの解説パンフレットを公開している。日本語訳は気象庁環境省地球産業文化研究所経済産業省の協力によって提供されている。

第一作業部会報告書 編集

第二作業部会報告書 編集

第三作業部会報告書 編集

統合報告書 編集

el:Τέταρτη έκθεση αξιολόγησης της IPCCnl:IPCC-rapport 2007

pl:Czwarty Raport IPCC pt:Quarto Relatório de Avaliação do Painel Intergovernamental sobre Mudanças Climáticas wuu:IPCC第4趟评价报告书

広告ブロッカーが検出されました。


広告収入で運営されている無料サイトWikiaでは、このたび広告ブロッカーをご利用の方向けの変更が加わりました。

広告ブロッカーが改変されている場合、Wikiaにアクセスしていただくことができなくなっています。カスタム広告ブロッカーを解除してご利用ください。

FANDOMでも見てみる

おまかせWiki